「みんな持ってるから買って」に「みんなって誰?」と返すのは親の怠惰だった

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小2の長男が宿題をしている途中で、ポツリと呟きました。

「ねぇ、なんで僕のだけ、筆箱片っぽしか開かんの?」

どうやらクラスでは長男ともう1人の男子を除いて、みな両面開きの筆箱を使っているらしい。

「みんな両方開くやつ持ってんねんから、僕も欲しい。」

さて、どうしましょうか。

みんなって誰や。まさかクラスの長男以外全員とか?

新しいの買ったらまだ使えるその今使ってる筆箱はどうすんの?

そもそも長男は本当に両開きの筆箱が欲しいのでしょうか。

子育てをしていると「みんな持ってるねんから買って。」という一種の決まり文句と共に物をねだられたり、「みんな行ってるねんもん!」と新しい習い事を始めたいと言い出したり、

とにかく「みんなそうなのに、自分だけ違う」という言葉で子どもが自分の要求を通そうとする場面に多々出くわします。

今は筆箱というかわいいもんですが、これから先どんどん大きな事象に発展することは間違いありません。

そこで、一度じっくりこの「みんな持ってるから僕も問題」について考えてみることにしました。

そしたらね、「みんな持ってるから」「みんながそうだから」って子どもだけの決め台詞じゃなかったのよね。

そう言われてみれば・・・。ドキッ!

これからは子どもに「みんな持ってるから僕にも買って!」と言われたら、親子で成長する良い機会だと思ってじっくり向き合ってみることにします。

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「みんな持ってるから僕にも買って!」に向き合ってみる

子どもが「みんなが持ってるんだから自分も欲しい。買って!」と、言いそうな場面はどんなときでしょうか。

  • 消しゴムやえんぴつなど目新しい文房具
  • DSなどのゲーム機
  • カードとかメダルなどの収集系おもちゃ
  • 新しい習い事や週末のクラブ活動など
  • お小遣いアップ大作戦
  • 携帯、スマホ

思い浮かんだ今後子どもが言ってきそうな「みんな持ってる(あるいはやってる)んだから自分も欲しい(したい)」を挙げてみましたが、いかがでしょうか。王道でしょ?

去年のクリスマス直前、我が家でも長男が「サンタさんにDS頼んでん♪」と急に言い出して、義父母も加わって大人会議をしたっけ。

子どものDSはいつから?ゲームを持たせるか否か問題も時代は変化してる(2016年編)
去年のクリスマス、当時小1の長男は自分専用のDSを手に入れました。 「サンタさんにDS頼んでん!」と意気揚々と話してくれたときは、「お、おう~。そうなんやー...

最近では冒頭の筆箱の話が記憶に新しいですが、その前は練り消しやったな。

「みんな練り消し持ってきてんねんで。僕も練り消し、買っとく?」と言い出し、「買っとく?って何やねん・・・」と思ったら、数日後消しゴムのカスを集めて授業中に作った渾身の練り消しを見せてくれました。

アンタ授業中何してんの?(まぁ、私もしたことないとは言わんけども。)

こんな風に「みんな持ってるのに自分は持ってない」とおねだりされることは一度や二度ではなく、これから先きっと何度もあると思います。

よく考えてみると似たようなことを自分もやってたりするんですよね。

子どものおねだりだけじゃない「みんなそうだから私も!」の心理

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考えてみるとみんなしてるから自分もしたいと思うのは、子どもだけじゃありません。

みんなしてるからと周りに流されてtwitterをやり始めたり、

人気のパンケーキ屋さんに何時間も並んで、食べたものはお決まりの儀式のようにinstagramに上げてみたり。

そういえば少し前に、ゲームのCMで「本当はゲームのためにスマホの容量空けておきたいけど、ノリ悪いと思われたくないから友達同士でいるときはとりあえずケーキの写真撮って家帰ったら消す」っていうのがありましたね。

みんながしていることを自分がしていないと、したい⇒しなきゃになることってあると思います。

特に日本人、特に女子って、こういう「みんながやってることは自分もしなきゃ」な精神が強め。

確かに若いころは前夜の人気ドラマを見逃したら、翌日学校で話題についていけない!仲間に入れない!とかもありましたね。

その程度で仲間外れにされるなんて、そもそもそんな友情は大丈夫なんか?っていうのはナンセンスだよ。そういうのを真実の友情!と呼べなくても必要なお年頃ってあるのよ。

心理学ではバンドワゴン効果というそうです

新しいゲーム機やスマホを手に入れるために子どもが言いそうな「みんな持ってるから」という常套句なため、

「みんなが持ってるから買って!」は子どものおねだり

というイメージが強かったのですが、

  • みんなが使ってるもの・流行っているものは自分も欲しくなる
  • みんながやっている・持っているものは安心

という、みんながやってるならそれは正しいことだし自分もしなきゃと影響を受けてしまうことを心理学ではバンドワゴン効果というそうです。

TVの通販番組やネットショップでも、リアルタイムの注文者情報が続々と増えていく様子がアップされていたり、ナントカ部門で1位に選ばれました!という謳い文句がついていたり、体験者のレビューがいくつも紹介されていたりします。

みんなが買っているから安心、こんなにたくさんの人が買っているんだから良いもの、さらに買うことが正しいと思わせて買ってもらう。

そういう手法でセールスでも頻繁に使われている有名な効果なんだとか。

うん、確かに私もネットで買い物するときは、商品ページよりもレビューをじっくり読んじゃう方かも。

こないだスマホの液晶保護シートを買うときも、どれ買ったらいいのか全然分かんなくて「レビュー件数の多い順」に並び替えて上位からいくつかだけ見て選んだわ。

「みんな買ってるんやから大丈夫やろ。」って確かに思いました!

「みんな持ってるの!」に「みんなって誰?」っていう返しは愚問

unhappy「みんな持ってんねんから、買って!」と子どもに言われると、私もつい「みんなって誰やねん!」と思ってしまいますが、この返しをしたところでどうなるのでしょうか?

「みんな持ってんねんで。持ってへんの、僕くらいやねんで。」

みんなって誰?

「なかむらさんと、よしださんと、かわかみさん。」

3人だけやん。全然みんなとちゃうやん。

「でも欲しいの!」

3人をみんなとは言わんやろ。ハイ終了。

と「みんなって誰?何人?」と問えば、買い与えたくないという自分の目先の意志は達成できます。

子どもはそもそもボキャブラリーが少ないですからね。

「それみんなとちゃうやん!ごく一部やん!」とツッ込まれると「うむむ、まぁそうやねんけどさ。でもさ。・・・。シュン」となって言い返す言葉もなくなります。

相手が小2なのでこれで済んでるのかもしれないけど、いつまで通用するでしょうか。

子どものころの気持ちを思い出してみると、買ってもらえないにしてもせめてもう少し納得できる理由が欲しいところ。

頭ごなしに「3人だけやったらみんなちゃうやん。」とバッサリ切り捨ててしまうのではなくて、必要・欲しいという子ども側の気持ちに対して不要・まだ早いと考える親側の気持ちと、客観的に考えたときのメリットとそれを上回るデメリットを加えて買ってもらえない理由を説明してもらいたいですよね。

大人でも流行や周りの意見に影響されて動いているっていうのに、相手はまだそこまで客観的に考えることもできない子ども。

そんな子どもを相手に、説明が自分でも上手くできないからといって「みんなって誰やねん。」に逃げてしまっているとしたら、それは親の怠惰であると感じます。

自分の気持ちと子どもの気持ちを伝え合う練習

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そもそも子どもの「みんなが持ってるから自分も欲しい」という言葉をそのまま受け取ってしまっていいんでしょうか?

子どもが「みんな持ってるから」とおねだりするとき、本当に「みんな(それが例え3人だけだったとしても)が持っているのに自分だけ持っていない」から欲しいのでしょうか。

  • 実は大の仲良しの友達1人しか持ってないけど、それで一緒に遊びたい
  • ただ自分が欲しかっただけなんだけど、ボキャブラリーの少なさゆえ「みんな持ってる」という言葉に集約された
  • 別に興味なかったんだけど、持っていないことをバカにされた
  • それをきっかけに仲間外れにされたり、会話に入れなかった
  • 実は本当はそのものが欲しいわけじゃなくて、違う何か訴えたいことがある

確かにね、ただ単純にそのものが欲しかったってこともあると思う。

そのときも「みんなって誰?」じゃなくて、何でそれが欲しいのか、欲しいのか必要なのかどっちかってことも含めて、じっくり話を聞いてみないと分からないことってあります。

「ねぇ、ストロー欲しい。」と夕飯の支度に追われてるときにボソッと長男に言われて、

「何でストロー要るんよ。コップで飲めるでしょ。」とさらっと流してコップに水入れてまた夕飯作りに戻りました。

数分後、半ベソかいた長男が「だって。だって。明日の図工で使うねんもん。」と。

いやさ、ママも流石にそこまで気を回してあげられへんかったわ。

ごめんやけど、せめて「明日学校で使うからストローちょうだい。」くらいの最低限の情報ちょうだい。

って感じやけど、私も余裕のあるときなら「ストロー欲しい。」と言われた時点で「ん?普段は水を飲むときにストローなんて言わん長男やのに、何でや?」となり「何に使うん?」と聞ける気がします。

余裕のあるときならね。(その頻度については聞かんといて。)

伝えてくるときの言葉はめっちゃシンプルやけど、その裏に隠された本当に言いたかったことや実際の理由は、少しずつ大人が引き出してあげんと上手に伝えきれないのが子どもなのかもしれません。

そして例えば幼稚園のバス停からの帰り道に「いつもと違う道で帰りたい。」「ジュース買って。」とあれこれ文句を言って母を困らせておいて、本当はすごく疲れたので抱っこして眠らせて欲しかっただけ・・・というウチの三男のように、不機嫌に要求をしてしまう理由が自分でもイマイチ分かってない、というようなこともあると思います。

「みんな持ってるから。」というおねだりの言葉に隠された真実というと大袈裟?かもしれないけど、その台詞が出たときこそ

  1. 子どもが気持ちを伝える練習
  2. 子どもの気持ちを親が聞いて汲み取って引き出してあげる練習
  3. 自分の気持ちや意見を伝える練習
  4. 子どもがその意見を聞いて、考える練習

と、これだけ親子で成長できる機会になるんじゃないかなと思ったわけです。

ちなみに、冒頭の筆箱の話をしたときは・・・母、熱弁してみました。

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長男に「みんなが持ってる両開きの筆箱が欲しい。」と言われたときは、なぜ今は両開きを買ってもらえないのか、なぜ母が片開きの筆箱を選ぶに至ったかを、熱くプレゼンしてみました。

この筆箱は長男が小学校に入学する前に、長く使ってもらうことを考えて私が時間を掛けて選び贈ったもの。

「みんなと同じようなやつがいい。」というだけでは、新しいものを買う理由として不充分です。

しかもめっちゃ探すのに苦労したんやで!なんせお店で見かける品物の数でいくと、両開きの方が選択肢は断然多かったからな。

まぁそれは置いといて。

ママが片面開きの方が良いと思った理由は、まず筆箱の深さが片面開きは深いの。両面は浅い。

ーーー中略ーーー

筆箱として必要な機能は、学校で使う鉛筆と定規と消しゴムが入るってこと。それはちゃんと満たしてるねんから。シンプルイズベストやで。

やでぇぇ!

長男「うん、よう分からんけど、・・・分かったわ。」

理由はともかく母が熱意を持って選んだ品だということは伝わった・・・(?)ようでした。笑

まだまだキレイだし壊れて無いし使っていて不便そうにも見えないので、少なくとも低学年の間はずっと使ってもらうつもりでいます。

「ほぅ、それは新しい筆箱が必要だね。」と思わず唸ってしまうようなプレゼンをされたら、予定外に新調することがあるかもしれません。

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「みんな持ってるから。」に隠された本当の意味を考える

子どもが軽く口に出した「みんな持ってるもん。僕も欲しい。」という言葉をそのまま受け止めて、バッサリ切り捨てて、それは1番楽チンでその話を簡単に終わりにできる。

でも、そういう経験を何度も重ねて自分の感情を押し殺して、思ってることやしたいことをすぐ諦めちゃうことって、慣れてしまって欲しくない。

今の自分が正にそんな感じで、頭の中で考えていることを言葉にすることがすごく難しい。

言葉にするのも難しいし、伝えるということにもすごく勇気がいる。

子どもにはそうなってもらいたくない、というのが根底にあるので、自分のリアクション次第で自分と同じ道を歩むのか違う道を歩むのかと想像すると、ちゃんと話さなきゃなって思う。

子どもの要求すべてを叶えてあげられるわけじゃない。

そもそも本当の要求が言葉通りでものを手に入れることだけなのかも微妙。

だからこそ、ちゃんと話を聞いて自分もそれに対してちゃんと意見を持つこと。子どもが伝えることを諦めずに、話せる相手でいること。

これは心掛けていたいな。

あとね、最終的に「みんながしてるから」っていうのに頼らない考え方もできるようになって欲しいよね。

自分や他の多数とは違う1人(あるいは少数派)を見たときに、どう柔軟に対応できるかっていう感性も育って欲しい。

同じものを持っていないからといって爪弾きする側の人間にもなって欲しくないんだよな、どんな場面でもね。

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